ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番収集記R

様々なピアニストによるラフマニノフ「ピアノ協奏曲第3番」の録音を収集。聴き込んだ上で、独自の基準により採点、ランキングし、それを公開するサイトです

3位:バルト('03新録CD-R)

f:id:GYOPI:20181101023612j:plain:rightツィモン・バルトのソロ。エッシェンバッハとの89年(EMI)以来の新盤で、今回も同じくエッシェンバッハ指揮、オケは北ドイツ放送響。レーベルは「En Larmes」、CD番号は「ELS 03-457」。CD-Rとなります。

まず、音質が最良。今まで聴いた中で最も美しい録音。これを聴いてしまったら、ほかの録音が「安っぽく」思えるほどの、生々しさ。

で、肝腎の演奏はというと、とにかく脅威的。ここまで「熱くかつカッコイイ」のは皆無。同時に超個性的。「ここまでやるのか」と感じたのはケルダー盤以来。具体的には1楽章。カデンツァはもちろん「大」なんですが、なんと全音スタッカート風。前半、高音パートは一音一音ポコポコ歯切れよく刻み、同時に低音部は雄大に響かせるのが、抜群にカッコイイです。カデンツァ折り返しの後半は、ものすごいスピードかつ大音量で、とてつもない迫力。少々のミスタッチなど構わず、ぐんぐん弾き進めます。そして、最後はたっぷりじっくりためて終了。もう、これほどまでに興奮させられたのは初めてです。とにかく、こんな聴き所たっぷりで、かっこいい「大カデンッア」は皆無。

一転、2楽章はやや大人しく。と思わされるのはピアノの入ってくる最初の部分だけ。すぐに再び熱を帯びてきます。そして3楽章、鬼気迫る勢いで、力強さ&スピード感満載。もう、ただただ圧倒されます。

とまあ、全楽章通じて、これほどまでに圧倒的な迫力を感じる演奏は唯一無二。ケルダー盤がラストで息切れするのと対照的に、このバルトの新盤は、まったく飽きさせないどころか、最初から終わりまで、とにかく引き込まれま続けます。引き込まれすぎて、聴くとグタっと疲れるほど。ということで、数あるラフマニノフピアノ協奏曲第3番のディスクのうちでも、間違いなく最高の演奏の1つであると思います。