バーンスタイン指揮、フランス国立管弦楽団。演奏は、終始スローペース。最初のピアノの入りの一音聞いただけで、「遅い!」。もう、プレートル盤のワイセンベルクは、見る影もありません。とにかく、終始ゆったり。
ただし、ふつう、こういうペースでやられると、一般的に退屈でつまらなくなりがちなところ。なのに、とにかくそうならないのがすごい。処々でテンポを揺らしたし、大げさなまでの強弱を付けたり。個性的というか、作為的というか、やりすぎというか、とにかく一向に退屈させられません。
そんななか、圧巻は3楽章。冒頭を聞くと「なんて遅いんだ!!」。するとこのまま、個性すらないスローペースが続き、退屈感が蓄積。ところが、フツーなのは最初の2分まででした。
2度目の第一主題で、大きな異変。思いっきり雄大で豪華、力いっぱいの打鍵に変わります、びっくり。ギラギラと轟音が鳴り響き、とにかくカッコイイの一言。他にも、様々な「びっくり」な仕掛けが数箇所待っています。
ということで、とにかくスケールの大きい・振幅の大きい、まさに巨匠的演奏。定番に飽きた時、新鮮な驚きが得られる雄大な演奏です。